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国際会議AHs 2026で本学グループがBest Demo Honorable Mentionを受賞~パラクライミング支援を目指すARサイトガイド・システムが国際的に高評価~

2026年3月19日,沖縄先端科学技術大学院大学(OIST)で開催された国際会議 Augmented Humans International Conference 2026(AHs 2026) において,政岡幹也さん(当時B4、現M1),寺田倫太郎さん(2024年度学部卒業生),池田聖(先端理工学部知能情報メディア課程・教授)のグループが,Best Demo Honorable Mention(最優秀デモ特別賞) を受賞しました。

AHsは,人間の身体機能や知覚,行動を拡張する技術を扱うACM公認の国際会議であり,今年で17回目の開催となります。 今回のデモセッションでは34件の展示発表が行われ,その中から Best Demo Award が1件,Best Demo Honorable Mention が2件選出されました。 本グループの発表は後者のうちの1つとして選ばれ,デモ発表全体で世界第3位以内に入る高い評価を得たことになります。

受賞対象となった発表題目は, “AR Sight Guide System for paraclimbing: An indoor experiment for spatial localization using active exploration” (日本語訳:パラクライミングのためのARサイトガイド・システム ~能動的探索を用いた室内空間定位実験~) です。 この研究は,全盲の視覚障害者がクライミングを行う際に,従来は「サイトガイド」と呼ばれる第三者の支援者を必要としていた点に着目し,その支援を拡張現実技術によって補助することを目指したものです。 開発したシステムでは,立体音響に加えて,利用者の視線や頭部姿勢に応じて音声提示の仕方を変えることで,クライミングホールドの位置を見つけやすく伝えます。 実際の障害者対応クライミングジム(Rock on the Beach,京田辺市)において,晴眼者が目隠しをした状態で登攀実験を行い,システムの有効性を検証しました。

デモ本番は3月18日午後に行われました。会場ではポスター発表に加え,来場者が複数種類の音声提示を体験しながら,ホールドの見つけやすさの違いを比較できる構成としました。ポスターパネルは2枚を用意し,そのうち1枚には模型のホールドを設置しました。参加者にはVRゴーグルを装着してもらい,視覚刺激を提示しない条件のもと,音だけを手がかりにホールドを探索してもらうデモを実施しました。さらに2台のiPadを設置し,どの位置のホールドから音が鳴っているかをリアルタイムで確認できる仕組みも整えました。30名以上が実際に体験し,およそ50名がポスター説明を聞きに訪れるなど,大きな反響がありました。

政岡さんらは,本番に向けて約3か月前から準備を進めてきました。最初からデモ賞の獲得を明確な目標として掲げ,研究室だけでなく滞在先のホテルでも動作確認や説明のシミュレーションを繰り返すなど,可能な限りの準備を重ねてきました。それでも,本番直前のホテルでの最終確認ではさまざまな不具合が見つかり,直前までシステム修正を試みるなど,緊張感のある状況の中で本番に臨みました。 今回のデモ展示には,サポートメンバーとして 井上想子さん,浦宗龍生さん も同行しました。両名は前々日から,デモシステムの不具合対応や英語での説明練習に取り組み,当日の運営と来場者対応を支えました。著者ではない二人の同行については事前に慎重な検討もありましたが,当日は非常に多くの参加者がブースを訪れ,結果的には二人の支援が不可欠であったといえるほどの盛況ぶりでした。

最終日は帰宅便の都合により授賞式には参加できず,受賞を知ったのは帰宅後でした。 今回のAHs 2026は,人気の開催地である沖縄での開催ということもあって投稿数が多く,デモ展示全体の質も非常に高かったといいます。 単にノートPC上で動画やアプリを見せるだけではなく,大型機材や体験型の実演を伴う「本気」の展示が多く, 本番前日の3月17日には,Sony Computer Science Laboratories(Sony CSL)の 笠原俊一教授 のラボによるオープンラボが行われ,非常に完成度の高いデモ展示が披露されました。 そのようなハイレベルな展示が並ぶ中で,自分たちが準備してきたデモの印象が埋もれてしまうのではないかという強い緊張感を政岡さんは抱いたといいます。

今回の受賞は,視覚障害者のスポーツ参加を支援するという社会的意義の高いテーマに対して,技術開発と実証を丁寧に積み重ねてきた成果が認められたものです。 とりわけ,政岡さんが中心となって粘り強く準備を続けてきた努力が,国際会議の場で結実した成果でもあります。 今後も本グループでは,パラクライミング支援をはじめとするインタフェース研究をさらに発展させていく予定です。

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